決断〜生死はざま〜

妻の記録

 

救急病院で、生死をさまよいながら処置され、なんとか生き返った私。(らしい)
さまよいながらもお医者さんの声が聞こえる

 

「これ赤ちゃん無理ちゃう?」

「血管見えないから点滴とれないけど」

 

 

赤ちゃんは中絶。

 


私の命を助けてくれた。

せっかく来てくれたのに、産んであげられなかった。

 

ごめんね。

 

奥さんか赤ちゃんか、そんな究極の選択を迫られた夫。

 

ごめんね。

 

夫と赤ちゃんに助けられた命。


集中治療室へ移ってからは少し記憶がある。

子供達はどうなってるの?

ご飯は?保育園は?

赤ちゃんの母子手帳は?

仕事休んだ電話は?

明日のパンは?

 

そんな日常の続きの夢をずっとみていた。

 

血圧計が一時間おきに私の腕でしまってる。

鼻からチューブが入ってる。

これ嫌。

心音がピッピなってる。

 

生きてる。

 

悪い事しないように手袋はめられてる。

とって!

外して!

手袋と鼻のチューブ外して!

ずっと訴えてた。

 

夢みながら。

 

突然現実に戻され、頭痛と尿意に襲われる。

うまく喋れない。

いたい!が言えない。

夜中に頭を痒がり叫び、イケメンの看護師さんに夜中にシャンプーさせ、恋に落ちる?

 

いい年ぶっこいて!!!

 

喉乾いたと暴れ、氷をなめさせてもらう。

満足できず、歯みがきに噛み付き、水気を絞り取ろうとする大人気ない30歳。

意識が戻ってくると、色々要求してた(らしい)

 

おしっこ行きたい!

お茶!

家帰る!

電話して!

 

モンスター患者

 

しかも毎朝、号泣。

 

子供達が心配!

 

赤ちゃんは??

 

ここはどこ?

 

今日はいつ?

 

 

そんな集中治療室の思い出。

 

もちろん歩けないからおしっこには行けないし、だす力もない。

お茶飲みたいけど、飲み込む力もない。

ご飯も食べられない。

目もよく見えない。

左手左足、ぜんぜん動かない!

 

唯一の救いは、低ーい声で少し喋れる。

言葉も覚えてる。

 

ここから私と家族の戦いは初まった。

 

看護師さんの名前を覚える。

私がここで生きていくためやったこと。

「○○ちゃん!バナナむいてー!」

「おトイレ付いてきて!」

「お茶ちょうだい!」

「あつーい!」

「さむーい!」

 

とにかく味方をたくさん作ってモンスター炸裂。

この頃にはトイレトレーニングもされ、オシメ卒業。

ごはんもお粥卒業で、自分で食べてた。

 

ただ、頭がしっかりしてるだけに色々辛い。

我が子どうなってるの?

今日参観日行きたい!

お熱あるらしいから看病しないと!

そんなこんなで毎朝号泣。

ベテラン看護師さんになだめられる毎日。